動物臨床医学
Online ISSN : 1881-1574
Print ISSN : 1344-6991
ISSN-L : 1344-6991
原著
犬における褥瘡リスクアセスメントスケールの有効性の検討
小野沢 栄里小松原 大介水越 美奈
著者情報
ジャーナル フリー

2022 年 31 巻 2 号 p. 51-56

詳細
抄録

本研究では,飼い主でも評価可能な客観的かつ具体的な内容の褥瘡リスクアセスメントスケールの作成を行い,その有効性を検討した。介護が必要な高齢犬に起こっている事象を調査した結果,褥瘡がある場合はない場合と比較して,自力での食事摂取や排泄,体位変換が難しく,痩せており,骨突出や関節拘縮がある頭数が有意に多かった。これらの結果をもとに褥瘡リスクアセスメントスケールを作成した。獣医療従事者と非獣医療従事者および大学生による評価の結果,評価者間の得点の一致率は高かった。また,介護が必要な犬を対象に作成したスケールを使用した結果,褥瘡あり(中央値7点(範囲:4-10点))は,褥瘡なし(4点(1-6点))と比較して有意に高得点であり,10点満点中7点以上で褥瘡のリスクが高くなることが明らかとなった。以上より,本研究で作成したスケールは,飼い主でも褥瘡の発生が予測可能な新たなツールとして有用であると示唆された。

著者関連情報
© 2022 動物臨床医学
前の記事 次の記事
feedback
Top