日本化学療法学会雑誌
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新規全合成経口ペネム薬ritipenem acoxilの外科臨床治験
森本 健木下 博明中谷 守一久保 正二藤本 幹夫平田 早苗大森 国雄上田 隆美山崎 修宋 博
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1995 年 43 巻 Supplement3 号 p. 312-327

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抄録

新規全合成経口ペネム薬ritipenem acoxil (RIPM-AC) について外科領域の臨床試験を行った。
RIPM-ACの胆汁中移行の検討では, 総胆管結石術後のT-tubedrainage中の4例および閉塞性黄疸でPTCD施行中の1例において, 本剤200または400mg内服時の血漿中濃度は内服後0.5~4時間で0.22~5.40μg/mlのピークレベルを示した。一方, 胆汁中濃度は, 1~4時間後に0.16~2.61μg/mlのピークレベルとなった。
外科的感染症58例では著効20例, 有効25例, やや有効11例, 無効2例, 有効率78%の結果であった。分離菌別の細菌学的効果判定が行われた86株では消失83株, 減少1株, 不変2株, 消失率97%の結果であった。分離状態別の細菌学的効果判定が行われた49例では消失43例, 減少2例, 菌交代3例, 不変1例の結果であった。MIC別の消失状況の判定が行われた86株では83株97%の消失状況でMICの高い菌が残存する傾向は認めなかった。安全性を評価した58例のうち, 副作用は全例において認められず, また, 臨床検査値についても37例中, 本剤との関連性が疑われた異常変動は認あられなかった。
以上, RIPM-ACは外科領域感染症に使用して有用性が期待できる薬剤である。

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