CHEMOTHERAPY
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産婦人科領域におけるbiapenemの臨床的有用性の検討
滝沢 憲井口 登美子武田 佳彦
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キーワード: 産婦人科, 臨床効果
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1994 年 42 巻 Supplement4 号 p. 857-859

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抄録

若年婦人の卵管炎は, 骨盤腹膜炎になり易く, 慢性化すると妊孕能を損なうので, 初期に抗菌剤を効果的に用いて完全治癒させることは極めて有意義である。今回, 急性卵管炎4症例 (23~35歳) に, 新しいカルバペネム系抗生物質biapenem (BIPM) を用いる機会を得た。1回300mg, 1日2回, 30分間で点滴静注する方法で4~6日間投与した。臨床的に4例全てで解熱し, 白血球の正常化, CRP値の陰転化などが見られ, 2例では有効, そして2例では著効が得られた。細菌学的には治療前の4例中2例で, 子宮腔内膿汁中からCorynebacterium sp., Prevotella biviaおよびBacteroides melaninogenicusが分離できたが, 治療後には消失した。一方, 臨床検査値異常および副作用は全く認められなかったことからBIPMは, 急性卵管炎に対して有用性が高いと判定された。

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