CHEMOTHERAPY
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産婦人科感染症に対するbiapenemの臨床的検討
遠藤 紘朝野 晃高橋 克幸高屋 りさ結城 道広後藤 順子毛利 裕之森塚 威次郎山本 博尚
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1994 年 42 巻 Supplement4 号 p. 852-856

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抄録

新しく開発された注射用カルバペネム抗生物質であるbiapenem (BIPM) を産婦人科領域感染症に対し本剤の臨床的検討を行い, 次のような成績を得た。
子宮内膜炎3例, 産褥子宮内感染症2例, 子宮溜膿腫2例, 卵管炎2例, 卵巣炎1例, 卵巣膿腫1例, 骨盤腹膜炎3例, ダグラス窩膿瘍2例, バルトリン腺膿瘍1例に本剤を1回300mg~600mgを1日2回点滴静注した結果, 有効12例, 判定不能5例の計17例であった。細菌学的効果は9例中13株が検出され, 消失10株, 存続3株で, 消失率は76.9%であった。副作用は全例に認めらず, 本剤の関与が疑われる臨床検査値異常は, 1例に一過性のGPT, Al-Pの軽度上昇が認められた。以上の成績より, 産婦人科領域に対してその効果と安全性について満足すべき結果が得られ, BIPMは有用な薬剤と考えられた。

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© 社団法人日本化学療法学会
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