5-FU投与により白血球減少状態を惹起したマウスにPseudomonas aeruginosaを経鼻感染して呼吸器感染モデルを作製した。このモデルを用い, 新規注射用セフェム剤cefulidin (CFCL) の感染防御効果を, cefepime (CFPM), cefpirome (CPR), ceftazidime (CAZ) およびimipenem/cilastatin (IPM/CS) を対照薬として比較検討した. 本モデルに対する薬剤の防御効果を, マウスの生存率および肺内菌数減少作用により判定し, 以下の結果が得られた。
1) P. aeruginosa E 03575株による感染に対し, 感染7日後で, CFCL投与群 (生存率57%, P<0.01) とCAZ投与群 (同29%, P<0.05) が無治療群 (同0%) と比べて有意に高い生存率を示した。
2) P. aeruginosa E 03585株感染時には, CFCL, CFPM, CPRおよびIPM/CS投与群, いずれも無治療群と比べて有意に高い生存率を示した (P<0.01)。なかでも, CFCL (100%) の生存率がもっとも高く, 次いでIPM/CS (93%), CFPM (86%), CPR (64%) の順で, CAZ (14%) には効果が認められなかった。
3) P. aeruginosa E 03408株による感染では肺内菌数を指標として薬剤の効果を検討した。その結果, CFCL (平均1.6×102CFU/肺) とIPM/CS (平均1.3×102CFU/肺) はP<0.01.CFPM (平均6.3×103CFU/肺) およびCAZ (平均5.0×105CFU/肺) ではP<0.05の危険率をもって無治療群 (平均1.3×107CFU/肺) と比べて有意な肺内菌数の減少が認められた。
