CHEMOTHERAPY
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複雑性尿路感染症に対するFK 037とceftazidimeの比較検討
河田 幸道他
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1994 年 42 巻 10 号 p. 1176-1193

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抄録

新しく開発されたセフェム系注射薬FK 037の複雑性尿路感染症に対する有用性を客観的に評価する目的でceftazidime (CAZ) を対照薬とした比較試験を行った。FK 037 (FK), CAZとも1回1gを1日2回, 5日間点滴静注後にUTI薬効評価基準に従って臨床効果を判定した。総投与症例223例中FK群の84例, CAZ群の94例を有効性の評価対象としたが, 両群の患者背景因子には有意差を認めなかった。総合有効率はFK群で89.3%, CAZ群で83.0%, 細菌消失率はFK群で157株中93.0%, CAZ群で181株中87.8%であり, いずれも両群間に有意差を認めなかった。副作用はFK群の110例中1例 (0.9%), CAZ群の113例中2例 (1.8%), 臨床検査値の異常変動はFK群の107例中3例 (2.8%), CAZ群の112例中11例 (9.8%) に認められ, その発現頻度に関して両群間に有意差を認めなかったが, 概括安全度はFK群において有意に高く, また有用性もFK群において有意に高かった。これらの成績から, FK037は複雑性尿路感染症の治療において, 有効性, 安全性ともに優れた有用な薬剤であると考えられた。

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© 社団法人日本化学療法学会
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