CHEMOTHERAPY
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産婦人科領域におけるCefepimeの基礎的, 臨床的検討
伊藤 邦彦玉舎 輝彦山田 新尚早崎 源基太田 俊治
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1991 年 39 巻 Supplement2 号 p. 354-365

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抄録

新しく開発された注射用セフェム系抗生物質であるcefepime (CFPM) の女性性器組織骨盤死腔液および乳汁への移行濃度の測定と産婦人科領域感染症への臨床応用を行った。CFPM1.0gを60分で点滴静注した時の各性器組織では, いずれも25μg/gを越える濃度の移行が認められた。骨盤死腔滲出液でも25μg/mlを越える濃度の移行が認められた。また, 乳汁では, 最高値でも1.2μg/ml程度の移行であった。臨床例9例では子宮溜膿腫3例中2例が無効, 1例が判定不能であったが, 子宮内膜炎, 子宮傍結合織炎, 骨盤死腔炎, 骨盤腹膜炎, ダグラス窩膿瘍および膣壁膿瘍の各1例ではすべて有効であった。また, 副作用, 臨床検査値の異常変動は認められなかった。これらのことから, CFPMは産婦人科領域感染症に対し, 有用な薬剤となると考えられる。

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© 社団法人日本化学療法学会
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