CHEMOTHERAPY
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Ampicillin耐性enterococciの疫学的研究
畠山 靖子久保 勢津子渡辺 正治石山 尚子斎藤 知子菅野 治重
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1989 年 37 巻 12 号 p. 1439-1452

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抄録

千葉大付属病院検査部で1985年5月より1986年6月の14か月間に分離したenterococci 455株について, 菌種の同定および薬剤感受性につき検討したので, その成績を報告する。菌種別に分類すると, Enterococcus faecalis 322株Enterococcus faecium 77株, Enterococcus avium 55株およびEnteroccus casseliflavus 1株であった。
Ampicillin (ABPC) 耐性株 (MIC≧16μg/ml) は, E. faecium, E. avium, にみられE. faecalis, E. casselilfamsには検出されなかった。ABPC耐性E. faecium, E. aviumが良好な感受性を示したのはvancomycinのみで, 0.8μg/mlですべての株の発育を阻止した。
E. aviumに比べE. faeciumはβ-ラクタム剤により高度耐性であった。
ABPC耐性enterococciが分離された患者の背景では, 複数菌分離例, 重篤な基礎症患を有するもの, 抗菌剤の前投与を受けている例が多かった。
Api 20 STREPでE. faecium, E. aviumと同定された株について, 同定項目を追加し性状をFARROW J A E・COLLINS M D, Api 20 STREP, 紺野・生方らの成績と比較検討した結果, E. faecium, E. aviumとも2つの生物型に分かれたE. faeciumでは感性株が全株sorbitol利用能をもたないのに対し, 耐性株は89.5%の株がsorbitolから酸を産生した。E. aviumでは感性株がα-galactocidase産生能およびraffinoseからの酸産生で66.7%の株が陰性だったのに対し, 耐性株では90%以上の株が両反応に陽性だった。

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