CHEMOTHERAPY
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RU 28965における基礎的・臨床的検討
島田 馨後藤 元深谷 一太稲松 孝思深山 牧子加藤 明彦佐野 靖之宮本 康文
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1988 年 36 巻 Supplement4 号 p. 277-284

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抄録

In vitroの薬動力学的モデルを用い, RU 28965 150mg内服時の血中濃度をsimulateし, S.aureus209Pの生菌数の変動を経時的に追跡した。RU 28965は静菌的で, 10時間後の菌数は約50%減少した程度であった。
急性気管支炎4例, 急性上気道炎1例, 肺炎17例, 慢性気管支炎10例, びまん性汎細気管支炎1例, 気管支拡張症1例, 計34例の呼吸器感染症にRU 28965を投与し, 臨床効果および安全性について検討した。
1回量100~200mg, 1日2~3回, 4~22日間投与し, 本剤の臨床効果は著効6例, 有効23例, やや有効3例, 無効2例で, 有効率は85.3%であった。細菌学的にはS.aureus 1例, S.pneumoniae 1例, K.pneumoniae 2例, H.influenzae 2例, Haemophilus sp.1例およびS.pneumoniae+H.influenzae 1例が分離され, 消失率は42.9%とやや低値であった。
副作用は上腹部痛1例, 腹部膨満感1例がみられ, 臨床検査値異常は好酸球増多1例, GOT・GPTの上昇1例がみられたが, いずれも軽微なものであった。
以上の臨床成績から, 本剤は呼吸器感染症に対して有用な経口抗生剤と考えられた。

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