CHEMOTHERAPY
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Cefteram pivoxilの眼科的応用のための基礎的, 臨床的検討
大石 正夫坂上 富士男大桃 明子田沢 博
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1988 年 36 巻 8 号 p. 569-577

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抄録

Cefteram pivoxilはcefteramとして抗菌作用をあらわし, その抗菌スベクトルはcefaclor (CCL) およびcephalexin (CEX) と同様, グラム陽性菌, 陰性菌に広く抗菌作用を示した。臨床分離のS.aureuss 20株はcefteramの0.78~>100μg/mlに感受性分布を示し, 3.13μg/mlに分布の山があった。白色成熟家兎に50mg/kgを経口投与して, 前房水内へは1時間後0.21μg/mlのピーク値が移行してみられ, この房血比は0.6%であった。以後は急速に減少して, 4時間では測定不能であった。投与1時間後の眼組織内濃度は, 外眼部で1.96~9.75μg/g, 眼球内部ではく0.05~4.4μg/g or mlの移行濃度が認められた。眼瞼炎, 麦粒腫, 瞼板腺炎, 眼瞼結膜炎, 急性涙嚢炎, 慢性涙嚢炎, 角膜浸潤, 角膜潰瘍の計25症例に, 本剤を1回200mg1日3回内服させて, 著効1例, 有効18例, やや有効2例, 無効4例の結果で, 有効率76.0%であった。症例中, CCL, cefadroxil (CDX), CEX, ampicillin (ABPC) に高度耐性を示したS. marcescens, P. vulgarisが検出された症例で, 同菌はすべてcefteramに高感受性を示して, 本剤が有効に作用した。副作用は1例にも認められなかった。

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