CHEMOTHERAPY
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新しいoxacephem, 6315-S (Flomoxef) の試験管内抗菌力β-lactamases安定性, 作用点ペニシリン結合蛋白 (PBP) に対する安定性, および血清補体と白血球との協力的食菌・殺菌作用
横田 健鈴木 映子新井 京子加藤 尚代
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1987 年 35 巻 Supplement1 号 p. 33-43

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抄録

6315-S (Flomoxef) は, 新しい広域oxacephem抗生物質である。本剤は多くの新cephem抗生物質に高度耐性を示す, メチシリン・セフェム耐性黄色ブドウ球菌 (MRSA) にも強い抗菌力を示すと言われる。
6315-S. aureus, MRSA, S. epidermidis,β-streptococci, S. pneumoniae, E. coli (R+), K pneumoniae, P. mirabilis, P. vulgaris, P. rettgeri, M. morganii, S.marcescens, E. cloacae, A. calcoaceticus, C. freundii, H. influenzae, , およびB. fragilis25~58臨床分離株に対するMICはそれぞれ0.39, 6.25, 3.13, 0.78, 0.2, 0.1, 0.1, 0.2, 0.39, 0.39, 3.13, 6.25, 100, 50, 3.13, 1.56および1.56μg/mlであった。
6315-Sは, 各種細菌の作るpenicillinase (PCase) 型β-lactamases (II b, III, IVおよびV型) と, cephalosporinase (CEPase) 型β-lactamases (I aおよびI c型) とのすべてに高い安定性を示した。またこれらのβ-lactamasesに対するKi値は, 0.18μMから1.275μMに亘る比較的小さな値を示した。
E.coliを使用し, その増殖に影響を与えない最高の補体量, 0.75 units/mlと, 50%増殖阻止濃度 (ID50) の6315-Sを共存させると, それぞれ単独に加えた時より強い殺菌効果を示した。またマウス培養マクロファージ (Mφ) によるE.coliの食菌・殺菌作用には, 1/4MIC以上の6315-Sは協力的に働いた。
6315-Sは, グラム陽性球菌およびE.coli, B.fragilis等にR plasmidの有無にかかわらず強い殺菌作用を示す上, 良好な生体内効果が予測されるので, 応用価値の高いoxacephemと考えられる。

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