CHEMOTHERAPY
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急性単純性膀胱炎に対するNorfloxacinのdose response検討を目的とした二重盲検比較試験
再発率検討を中心に
熊本 悦明広瀬 崇興西尾 彰酒井 茂古屋 聖児本間 昭雄田宮 高宏島村 昭吾丹田 均江夏 朝松鳥居 恒明水戸部 勝幸出口 浩一
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1987 年 35 巻 10 号 p. 778-790

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抄録

Norfloxacinを女子急性単純性膀胱炎患者に投与し, その3日目および7日目の治療効果とその投与後1週間目の再発について検討した。
投与量はNorfloxacinを1日400mg, 200mg, 100mgの3群とし, 朝・夕食後の2回に分割投与した。
1) 患者尿分離菌の80.4%を占めるE. coliのMICは92%が0.2μg/ml以下であった。 また起炎菌の10.5%を占めるグラム陽性球菌の87.5%は6.25μg/ml以上であった。
2) 3日目判定で, 1日400mg投与群 (46例), 200mg投与群 (53例) し100mg投与群 (40例) のいずれにおいても総合臨床効果は各群とも有効率100%であった。 7日目判定において, 400mg投与群 (37例), 200mg投与群 (42例), 100mg投与群 (40例) で, やはり総合臨床効果は各群とも全例有効以上であった。 群間に自覚症状, 膿尿, 細菌尿に対する効果も含めて, すべて有意差は認められなかった。
3) 1週間プラセボ服用後の再発の検討では観察可能であった400 mg投与群 (25例), 200 mg投与群 (29例), 100 mg投与群 (28例), 計82例中400 mgと200 mg投与群のそれぞれ1例に再発が認められたのみであった。 また, それらは再燃と考えられた。 それらを含めての総再発率は2.4%(2/82) である。 投与詳間に有意差は認めなかった。
以上のデータをまとめると, 1日投与量400mg, 200mg, 100mgの3日間および7日間の治療効果および治療中止1週間後の再発率には投与詳間には全く有意差を認めず, 女子急性単純性膀胱炎に対しては1日100mg投与でも充分と考えられた。

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© 社団法人日本化学療法学会
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