CHEMOTHERAPY
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新セフェム系抗生物質T-2588の長期連続投与後のビーグル犬腸内菌叢に及ぼす影響
千田 俊雄留奥 はるみ長谷川 潔岡村 登中谷 林太郎
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1986 年 34 巻 Supplement2 号 p. 92-97

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抄録

新セフェム系抗生物質T-2588を, ビーグル犬に各群指定用量 (非投与群, 200mg/kg投与群, 400mg/kg投与群および800mg/kg投与群) で1日1回, 79日間連続経口投与したのちの腸内菌叢の量的, 質的変化を観察した。またEnterobacteriaceaeについてはT-2525耐性菌の出現率を測定した。さらに, Clostridium difficileの菌検出と糞便中毒素検出を行なった。
1. ビーグル犬にT-2588を長期連続経口投与した場合, 投与量が多いほど腸内菌叢の単純化が認められた。
2. 偏性嫌気性菌群の菌敬減少率と本剤投与量との間に明確な用量-応答関係が認められた。
3. 好気性菌群ではStreptococciおよびEnterobacteriaceaeの増加が認められた。
4. Enterobacteriaceae総数に対するT-2525耐性 (MIC>12.5μg/ml) Enterobacteriaceae総数の割合は薬剤非投与群では平均0.03%であったのに比べ, 薬剤投与群では平均76.3%と高比率を示した。
5. C. difficileは薬剤非投与群で検出されなかったのに対し, 薬剤投与群では全例から平均103-6/g検出された。これらの分離菌株はすべて毒素産生性を示した。しかし, 糞便中毒素はすべて陰性で, 便性状も全例とも正常であった。

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