CHEMOTHERAPY
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Cefuroxime (CXM) の髄液移行の検討
倉田 和夫溝辺 雅一
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1986 年 34 巻 4 号 p. 308-311

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抄録

Cefuroximeは髄膜炎に際しては極めて高い髄液移行が認められる報告から, 正常髄液への移行濃度を知ることにより, 脳脊髄感染症または感染予防に対して本剤投与に際し示唆が得られるものと考え, 血液髄液関門の透過性に変化がない正常髄液移行の経時的推移を検討した。その結果, 以下の成績が得られた。
1. 脳脊髄非感染者24例について, 点滴静注後の血清中濃度および髄液中濃度を測定し, 得られたデータを薬物速度論的に解析した。
2. 血清中濃度の消失推移は, one compartment modelに適用され, 消失半減期は0.67時間, 分布容積は12.3L/bodyの値を得た。
3. 髄液中濃度に関して計算された理論推移曲線より, 点滴静注後2~3時間まで髄液中濃度は上昇し続け, ピーク到達後は約10時間の消失半減期で減少すると推定された。
4. 得られた速度論的パラメーターより各種の用法における髄液中濃度の理論計算が可能であると期待された。

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