CHEMOTHERAPY
Online ISSN : 1884-5894
Print ISSN : 0009-3165
ISSN-L : 0009-3165
泌尿器科領域におけるAC-1370の基礎的・臨床的検討
岡田 敬司星野 英章長田 恵弘勝岡 洋治木下 英親松下 一男河村 信夫大越 正秋根本 聡織田 孝英池田 直昭
著者情報
ジャーナル フリー

1984 年 32 巻 Supplement9 号 p. 630-637

詳細
抄録

新しいセフェム系薬剤であるAC-1370について検討した。健康成人5名に本剤1gおよび4gを1時間で点滴静注した場合Cmaxは各々117.4μg/ml, 278.9μg/ml, T1/2は1.45時間, 1.63時間であった。尿中回収率は8時間までで各々90.8%, 94.4%であった。
脱水および溢水家兎各2羽に本剤500mgを1回静注し, 血中濃度, 各種臓器濃度を測定したが, いずれの場合も脱水家兎で高い濃度を示した。
臨床例は9例でその多くが慢性複雑性膀胱炎であったが, 1日2~4gの本剤を分2で投与した。UTI薬効評価基準に適合する症例は6例で著効3例, 無効3例と50%の有効率であった。その他の症例では主治医判定で著効1例, 有効1例, 無効1例であった。自他覚的副作用は特になかったがBUN, クレアチニンの上昇, 白血球数の減少が一過性に1例認められ, 本剤による可能性も全面的には否定できなかった。
以上のことから, 本剤がin vitroよりin vivoで抗菌力が優れているといわれてはいるものの, 慢性複雑性膀胱炎に対してはそれ程期待できず, むしろ急性炎症に対する効果の方を期待したいという印象を受けた。

著者関連情報
© 社団法人日本化学療法学会
前の記事 次の記事
feedback
Top