CHEMOTHERAPY
Online ISSN : 1884-5894
Print ISSN : 0009-3165
ISSN-L : 0009-3165
Sulbactam/Cefoperazoneの基礎的, 臨床的検討
沢江 義郎岡田 薫熊谷 幸雄柳瀬 敏幸
著者情報
ジャーナル フリー

1984 年 32 巻 Supplement4 号 p. 331-340

詳細
抄録

新しく開発されたβ-lactamaseinhibitorであるSulbactamとCefoperazoneの1: 1合剤のSulbactam/Cefoperazone (SBT/CPZ) について, 基礎的・臨床的検討を試みた。
九大第一内科入院患者由来の臨床分離菌に対する抗菌力を接種菌量106cells/mlで測定したところ, SBT/CPZのMICが12.5μg/mlの占める割合は, Saureus 82%, S. faecalis 3%, E. coli 95%, K. pneumoniae 91%, Enterobacter sp.85%, S. macescms 63%, Proteus sp. 96%, Citrobacter sp. 53%, Salmonella and Shigella sp. 100%, Paeruginosa 79%, その他のAeudomonas sp. 50%であり, CPZのみのものと大差がなかった。しかし, CPZのMICが100μg/ml以上の株の中にSBT/CPZのMICが100μg/ml以下となるものがあり, β-lactamase高産生菌であった。
九大第一内科および関連病院内科に入院した呼吸器感染症6例, 胆道感染症3例, 敗血症4例, 頬部蜂窩織炎1例の計14例に, SBT/CPZを1日2~69, 2~55日間使用し, 著効2例, 有効5例, やや有効3例, 無効2例, 判定不能2例であり, 有効率58%であった。とくに胆道感染症には100%有効で, CPZ無効例にも有効であった。細菌学的効果として, S. faecalis, S. epidermidisに無効であった。副作用としては何ら認められなかったが, 臨床検査成績でGOT/GPT上昇が3例, 好酸球増多が1例に認められた。

著者関連情報
© 社団法人日本化学療法学会
前の記事 次の記事
feedback
Top