CHEMOTHERAPY
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Cefmetazoleの骨髄血への移行濃度について
桜井 実
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1982 年 30 巻 6 号 p. 662-667

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抄録

人工関節の手術に際ては偶発的感染すらも回避しなければならないので抗生物質が感染子防の目的で一般に用いられている。Ccfmctazole (CMZ) 2.0gを手術前に静注で投与し, 人工股関節置換術などの股関節部の手術で大腿骨頸部の切離を行な引時に採取される骨髄内の血液について, CMZの濃度を測定した。
投与後早い時間帯ではかなり高い濃度を示し, 12分後には188.0μg/mlの例があった。漸次時間とともに低下し3時間57分後の4.8μgが最低値てあった。そのし半減期は60分で, 血清中濃度59分と大差がない。
対比しえた同時刻におけ・る骨髄内濃度と血沽中濃度の比が常に100%を越す例が35症例中21例て, それ以下に留まった7症例よりはるかに多い。このことはCMZは骨髄血への移行がよいだけでなく, 一旦浸透したものが骨髄血中に停滞する傾向を示すものといえる。
CMZはかなり広範囲の起炎菌に抗菌作用をもっているので, 大きな骨, 関節の手術に雰;しての感染予防の目的からその有用性が認められる。

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