1982 年 30 巻 11 号 p. 1278-1285
ラットの子宮内へE. coliな接種し, 実験的子宮内感染症モデルの作製を試みるとともに, 感染モデルを用いて, 抗生剤の治療効果の比較についても検討した。
実験には, 処女, 分娩翌日および分娩4日後のラットを用いた。それぞれのラットには, 子宮頸部に結紮を施し, 子宮角内に5%ムチン液とともに菌液を注入した。その結果, 分娩4日後の子宮において菌定着は最も良好であり, 組織学的にも子宮腔, 腺管への好中球浸潤を伴う顕著な子宮内膜の炎症性変化がみられた。
このような感染動物を用いて, CTX, CEZの治療効果を比較した。CTX投与の場合, CEZに比べ明らかに優れた治療効果がみられた。この結果は, 作製されたラットの子宮内感染モデルが, 抗生剤の治療効果をin vivoで予測する一手段となることを示唆している。