CHEMOTHERAPY
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呼吸器感染症を中心とするCefoperazone (T-1551) の臨床応用に関する基礎的・臨床的研究
松本 慶蔵宍戸 春美宇塚 良夫永武 毅野口 行雄井手 政利玉置 公俊渡辺 貴和雄林 雅人高杉 良吉横山 紘一木村 久男
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1980 年 28 巻 Supplement6 号 p. 545-568

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抄録

Cefoperazone (CPZ, T-1551) は, PIPCとほぼ同一の2, 3-dioxopiperazine環を有するmoietyを7-ACAの7位に導入してβ-lactamase抵抗性とグラム陰性桿菌, 特に緑膿菌への抗菌力の増強を図り, かつ3位に導入されたmethyltetrazolyl基により生体内代謝安定性を増した新CEPである。本剤の呼吸器感染症を主とする臨床応用に関する基礎的・臨床的研究を行なった。
呼吸器病原性の明確な臨床分離株の本剤MIC測定成績 (106/ml接種) では, 肺炎球菌0.025~1, 56μg/ml, インフルエンザ菌 (ABPC感受性) 0.003~0.1μg/ml, 同 (β-lactamase非産生ABPC耐性) 0.2μg/ml, 緑膿菌0.78~100μg/ml, 肺炎桿菌0.2~6.25μg/mlに分布し, β-lactam剤として初めて呼吸器4大起炎菌すべてに抗菌力を有した。β-lactamase産生Haemophilusの接種菌量とMICとの関係より比較的β-lactamaseに安定であると考えられた。
Protns minbilis ATCC 21100を検定菌とする本剤濃度測定法を確立し, 検体量が少なく検出限界が低いことを確認した。本剤100mg/kg, 20mg/kg筋注後ラット臓器内濃度は, 両投与群とも血清>腎>肝>肺の順となり, CEP中特異的なパターンでありPIPCに類似した。臨床例における血中半減期は約2時間と長く, 喀痰中移行率は0.196~1.36%で, 局所痰移行率は12.4%と高値を示した。
マウス実験肺炎 (肺炎桿菌B-54) の実験成績より, 本剤の優れたin vivo効果が認められた。
呼吸器感染症33例, 尿路感染症4例に本剤を投与し, 優れた除菌効果を認め, 有効率は前者で81.8%, 後者で100%と高率であった。37例中2例に一過性軽度肝機能障害を認めた。
CPZは, 特に呼吸器感染症に対するall-roundな新CEPとして, 有用性が高いと結論された。

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