CHEMOTHERAPY
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Cefoperazone (T-1551) の基礎的・臨床的検討
中川 圭一渡辺 健太郎小山 優川口 義明鈴木 達夫福井 洸
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1980 年 28 巻 Supplement6 号 p. 395-413

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抄録

Cefoperazone (CPZ, T-1551) は従来のcephalosporin剤に比し, ことにグラム陰性桿菌に対し抗菌力がすぐれ, かつ抗菌スペクトルも広く, P. aeruginosaに対してもPIPCと同程度の抗菌力を示し, H. influenzaeに対してはABPCよりはるかにすぐれた抗菌力を示した。
本剤1g静注後の血中濃度および尿中排泄率をCEZのそれとcrossover法で検討したところ, CPZの血中濃度はCEZよりもやや高くhalflifeも長かった。尿中排泄率はCEZが24時間までに約100%なのにCPZは約35%であった。
2例の胆道感染症の患者において1g静注後の胆汁中濃度を測定したが, そのpeak値は両者とも約1,000μg/mlであった。
慢性気道感染症の3例について喀疾内濃度を測定したが, 2g点滴で8.2μg/mlが最高であった。
臨床治験例はRTI13例, BTI7例, UTI2例の計22例である。RTI13例中有効8例, 無効5例であったが, 無効5例中4例はCPZの非適応症例であり, 難治感染症2例に有効であったことから, 本剤はRTIに対し有効性の高い薬剤である。
BTI7例中臨床症状のあった5例に対してはすべて有効, 胆汁中に細菌をみとめた3例中2例に菌の消失をみた。
UTI2例は複雑性尿路感染症であったが両例とも有効であった。
副作用として発疹が22例中2例あり, またGOT, GPT, ALPが投与前後に変動したものが4例あったが, いずれもBTIで本剤との関連はないものと考えられる。
以上の成績からCPZはRTI, BTI, UTIに対し有用性の高い新しい抗生剤と考えられる。

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