CHEMOTHERAPY
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Cefoperazone (T-1551) にかんする臨床的研究
上田 泰松本 文夫斉藤 篤嶋田 甚五郎大森 雅久柴 孝也山路 武久井原 裕宣北條 敏夫宮原 正
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1980 年 28 巻 Supplement6 号 p. 369-384

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抄録

Cefoperazone (CPZ, T-1551) について, その抗菌力, 吸収, 排泄ならびに臨床効果を検討し, 以下の結果をえた。
1. 抗菌力
臨床分離のE. coli, K. pneumoniae, S. marcescens, E. cloacaeに対するCPZの抗菌力は, E.coli, K. pneumoniaeに対してはcefotiamよりやや劣るものの, その他の菌種にはcefotiam, cefmetazoleとほぼ同様, あるいはこれらより2段階以上, cefazolinより2~3段階以上, cephalothin, cephaloridine, cephalexinより4~5段階以上すぐれたものであった。また, 臨床分離iのP. aeroginosaに対してはcefsulodin, gentamicinよりやや劣ったが, piperacillinとはほぼ同等, carbenicillinより4~5段階すぐれた抗菌力を示した。
2. 吸収, 排泄
CPZを1.0g1回静注すると, 注射後5分で平均110.53μg/mlの血中濃度がえられ, 平均血中半減期はα-phaseで0.15時間, β-phaseで2.15時間であった。また, 尿中には注射後1時間で平均2,553. 3μg/mlの濃度がえられ, 注射後12時間までの尿中回収率は平均40.04%であった。
3. 臨床成績
呼吸器感染症, 尿路感染症, 胆道感染症, 敗血症, 腹膜炎, 咽後膿瘍計41例にCPZを使用し, 判定不能の2例を除いた39例中, 著効6例, 有効24例, やや有効6例, 無効3例の結果がえられた。
副作用としては1例に発疹, 2例に血清transaminaseの上昇, 1例に好酸球増多をみとめたが, いずれも可逆性であり, 他に重大な副作用は特にみとめられなかった。

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© 社団法人日本化学療法学会
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