CHEMOTHERAPY
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Cefoperazone (T-1551) の利尿剤併用時における腎障害作用
米田 豊昭岩崎 信一佐藤 盛中川 重仁林 智栄高井 明
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1980 年 28 巻 Supplement6 号 p. 292-306

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抄録

Glycerol (G) と利尿剤furosemide (F) を皮下投与したラットに対してcefoperazone (CPZ, T-1551), CET, CEZのおのおの250mg/kg, 1000mg/kgを静注し, 24時間後に腎におよぼす影響を比較検討した。また, それぞれの検体の1000mg/kg単独静注投与についても同様の検討を行なった。
1) 投与後5~24時間にわたって採取した尿中lysozyme量は, CEZ, CET投伊群で投与量に比例した著しい増加がみられたが, CPZ投与群では増加の程度が他の2剤より少なく, 投与量との関係も明瞭でなかった。
2) 24時間後に採血検査したBUNとクレアチニンでは, 3薬剤とも投与量に比例した上昇を示し, その程度はBUNがCEZ>CET>CPZの順に強く, クレアチニンではCET≒CEZ>CPZの順であった。
3) 腎の組織学的検索では各薬剤投与群に皮質尿細管上皮の変性, 壊死, 尿細管腔内の好酸性円柱の出現が認められ, その尿細管障害の強さはほぼCEZ≒CET≧CPZの順であったが, 明瞭な差ではなかった。腎の電子顕微鏡的観察でも近位尿細管上皮細胞に変性像, 壊死像を認めた。
4) CPZ, CET, CEZの1000mg/kg単独静注投与では上記異常所見は認められなかった。

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