1980 年 28 巻 Supplement6 号 p. 105-130
Cefoperazone (CPZ, T-1551) の1000mg/kg/dayおよび2000mg/kg/dayをそれぞれラットに4週間静脈内注射し, KM200mg/kg/dayと400mg/kg/dayの4週間筋肉内注射したラットおよび生理食塩液10ml/kg/day4週間静脈内注射したラットを対照群とし, 耳介反射および内耳の組織学的検索を行ない, 聴器に対する影響を比較検討したところ次のような結果を得た。
1) CPZは1000mg/kg/day投与においても2000mg/kg/day投与においても, ラットの聴覚系末梢のラセン器の有毛細胞ならびに前庭系末梢の前庭器の有毛細胞にほとんど障害を起こさなかった。
2) 本剤投与動物の腎臓および肝臓には対照群に比して著しい障害像はみられなかった。
3) KM200mg/kg/day, 400mg/kg/day投与群では, 内耳のラセン器および前庭器にそれぞれ有毛細胞の消失縁を認めることができた。
4) KM投与動物では, 腎臓に尿細管の変性像および間質の細胞浸潤ならびに結合織細胞の増殖などを認めた。これらのKM投与動物における内耳障害および腎障害はdose-responseを示した。