日本生物学的精神医学会誌
Online ISSN : 2186-6465
Print ISSN : 2186-6619
トランスレーショナル研究における動物の認知・行動評価系の構築
松本 惇平小野 武年西条 寿夫
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ジャーナル オープンアクセス

2016 年 27 巻 3 号 p. 113-116

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抄録

トランスレーショナル研究では,動物の認知機能・行動を的確に評価するシステムが必須である。マウスを用いた系では,神経細胞(バルバルブミン陽性ニューロン密度)─神経生理学的指標(同期性γオシレーション)─認知・行動機能(プレパルス抑制)間の連関を同一マウスで解析し,同期性γオシレーションを,バルバルブミン陽性ニューロンが障害される精神疾患のバイオマーカーとして用いることができる可能性が示唆された。第二に,3 次元ビデオを用いた行動解析システムを開発し,動物の3 次元的な姿勢・位置を客観的かつより正確に解析することが可能になった。本稿ではこのシステムをラットの新奇物体探索課題およびサルの自発行動の解析に応用した研究を紹介する。以上のような新しい計測手法の開発により,客観的データにもとづいたトランスレーショナル研究が進展することが期待される。

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© 2016 日本生物学的精神医学会
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