熱帯農業
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アジアイネ (Oryza sativa) ・アフリカイネ (Oryza glaberrima) の種間交雑後代の精米加工特性および品質特性
渡邊 英夫二口 浩一Ibrahim TESLIMBenjamin A. SOBAMBO
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2002 年 46 巻 1 号 p. 47-55

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抄録

西アフリカ稲開発協会 (WARDA) では, アジアイネ (Oryza sativa) ・アフリカイネ (Oryza glaberrima) の交配による種間交雑後代の育成, 普及を推進しており, 栽培特性, 品質特性の解明が求められている.この試験では, CG14 (アフリカイネ) とWAB56-104 (アジアイネ) の交配によって育成されたWAB450シリーズの種間交雑後代について, 精米加工特性および品質特性を調べた.1997年雨季に, アフリカイネ157系統, 種間交雑後代179系統, その両親およびアジアイネの対照品種10をWARDA潅漑圃場において標準栽培した (窒素肥料: 90kgN/haを3回に分施) .また, 品質の安定性を調べるため, 1998年雨季および1999年乾季に種間交雑後代各47系統を同様に栽培し, 収穫物の精米加工特性および品質特性の分析を行い次の結果を得た.
(1) 種間交雑後代は, 精米加工特性, 精米白度, 透明度等においてアフリカイネに優り, アジアイネの対照品種と同等の良好な数値を示した.
(2) 精米加工特性の作季間相関は低かったが, 品質特性の形状, 白度, 粉状質は, 高い有意な相関を示し, 品質の安定性が認められた.
(3) 種間交雑後代の高蛋白質系統は, 低蛋白質系統に比べ, 粒長に変化はみられなかったものの, 粒幅と粒厚が減少し, 精米加工特性, 透明度等の品質項目において優れた値を示した.
(4) 種間交雑後代はアジアイネを2回戻し交雑しているため, その品質特性は, 反復親のアジアイネに近い特性を示す項目が多く, また既存の系統の中から有望な系統を選抜し得る可能性が認められた.

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