2008 年 55 巻 4 号 p. 77-86
本研究は来館者の満足度向上を目指している九州国立博物館を対象に携帯型音声解説機器向けの新しい音声解説コンテンツを開発することを研究目標としている。そのためアンケート調査、追跡観察調査等の基礎調査を行い、来館者のニーズや展示空間内での行動や態度について調査を実施してきた。本論文ではこれから設計する音声解説コンテンツをどのように評価すべきかについて評価手法を提案する一方、今まで定性的な手法が主流となった展示評価について考察し、より客観的な評価手法として定量的展示評価手法を開発し検証した。本提案の赤外線を用いたシステムは来館者の滞在時間計測による展示評価ができると共に、来館者の音声解説聴取率等のログデータが自動的に検出できる仕組みになっている。システムの有用性を調べるテストではシステムから得られる情報の正確さ、情報量から展示評価及び音声解説コンテンツ評価において信頼できると評価できた。