デザイン学研究
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曲線形状における「複雑さ」の認知特性 : マクロ形状情報「複雑さ」とデザイン(2)
氏家 良樹松岡 由幸
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2008 年 54 巻 6 号 p. 83-90

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抄録

曲線デザインにおいては,形状全体の特徴を巨視的に認知するヒトの特性から,形状要素の組合せによって発現するマクロ形状情報の適切な把握と操作が重要である.しかし,CADを用いた現行の曲線デザインにおいては,微視的な形状特徴を定量的に表現する情報の提示が主流であり,マクロ形状情報の把握と操作はデザイナの経験や直観に依存している,このような背景より,筆者らは,マクロ形状情報「複雑さ」を対象として,マクロ形状情報の定量化法構築とマクロ形状情報を操作可能な曲線形状生成法の構築に関する研究を進めてきた.本報では,マクロ形状情報「複雑さ」の認知における個人差をはじめとしたヒトの特性による影響,および大きさ・方向変化をはじめとした環境の特性による影響,の2点を検討するために行った認知実験について述べる.そして,認知実験の解析結果に基づき,「複雑さ」は個人差や大きさ変化・方向変化をはじめとする場の影響を受けにくく,曲線形状全体から算出される物理量のみで定量化される可能性があることを示す.

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© 2008 日本デザイン学会
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