デザイン学研究
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スギ圧縮材と17種類の木材の感覚特性 : 家具・建具づくりのためのスギ圧縮材の開発(4)
阿部 眞理増山 英太郎
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2004 年 51 巻 4 号 p. 45-54

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抄録

本稿では、スギ圧縮材のもつ感覚特性について、国内外産の針葉樹材と広葉樹材17種の試験片と比較しながら、触覚のみによる感触実験と視覚と触覚をあわせた感覚実験を行ない、その特性を明らかにした。実験は木工、家具製造・販売に対する経験者と未経験者それぞれに対して実施し、SD法により各材種の平均プロフィルを明らかにし、因子分析によってバリマックス回転後の因子負荷量を抽出した。この結果、触覚においては、職業経験者と未経験者ともに「落ち着き感因子」と「なじみ感因子」が共通となり、視覚・触覚の感覚実験においては「落ち着き感因子」、「なじみ感因子」、「鮮度感因子」が共通の因子となった。また、17種類の材種との比較において、スギ圧縮材の位置付けを行なうため、各因子間における布置図を作成した。その結果、いずれにおいてもスギ圧縮材はカリン、チーク、ローズウッドといった硬質の広葉樹材と並んで布置し、圧縮前のスギとはその感覚特性を異にした。スギは圧縮成形加工を施すことにより、物理的な特性のみならず、視覚、触覚の感覚特性においても硬質な広葉樹材に匹敵する性質となることが判明した。

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© 2004 日本デザイン学会
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