2001 年 48 巻 4 号 p. 121-130
本論は, ブラウン管方式のテレビの中から, 商品ラインアップの構成比率が高い「ワイドテレビ」と「スタンダードテレビ」の2カテゴリを対象として, 主要5メーカの過去6年間の商品展開とデザインについて検討したものである。両カテゴリの商品展開は, ブラウン管および映像表示機能の高性能・高機能化に基づくものであり, その変化の過程は各メーカごとに異なることがわかった。また各年度の新機種を対象として, 外観デザインの共通性について調査したところ, 全機種が同一のデザインである「統一型デザイン」と複数のデザインが混在する「分散型デザイン」の2種類があることがわかった。さらに後者は, デザインの共通する観点の有無やその違いから, 「タイプ立脚型デザイン」「画面サイズ立脚型デザイン」, そしてデザインの統一がみられない「分散型デザイン」の3種類に分類できることがわかった。これらのデザインの考え方の違いはラインアップ化される新機種のタイプや画面サイズの種類などとともに, 各メーカの商品戦略の違いや生産コストに対する考え方の違いなどが影響していると考えられた。