筆者たちはグラフィックレコーダーたちが、記録紙の平面を画家が絵画を描くキャンパスのように捉えることで、情報をバランスやリズムといった絵画的、造形的に体系づけて構造化していく際の知覚のありかたを面的思考ととらえた。 面的思考を人間中心デザインにおける顧客理解に用いる場合、顧客の情報を考えることを同時に、キャンパス全体の構図に目を向け、情報が何もない無の空間の意味を推察することで、言語化されていない欲求に迫ることができる。本項では筆者たちの思考プロセスを言語化、視覚化して形式化することにより、面的思考について客観的な検証を進めた。