セルフメディケーションの考え方が広まり,一般用医薬品が消費者にとってより身近なものになる一方,薬の成分や使用上の注意をよく見ず,不適切に使用される行為が問題視されており,医薬品の適正使用に向けた情報体制の整備が早急な課題となっている。これまでに,専門用語を避けた分かりやすい資料の作成や誘目性を利用した添付文書の提案などの報告は見られたが,消費者が医薬品情報に触れる機会はそれほど多くないため,十分に活用されているとはいいがたい。本研究では,消費者が利用したくなる情報媒体を目標に,医薬品情報に関心を向けてもらう足がかりとなるような情報呈示システムの製作・検討を行った。消費者の購買行動に連動して機能する情報呈示装置を作成し,表示内容・表示形式の適正検証を行ったところ,ボタンで操作するインターフェースが,自動でページが切り替わるインターフェースより効果的に情報を伝達できる可能性があることを確認できた。消費者にとって必要な情報呈示のあり方を慎重に考え,改良していき,セルフメディケーションの実践しやすい社会構築の一助となることを期待する。