日本臨床救急医学会雑誌
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症例報告
βブロッカー(アテノロール)中毒に対し血液浄化法を施行した1例
津田 雅庸北澤 康秀斉藤 福樹尾田 聖子上能 伊公雄
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2005 年 8 巻 3 号 p. 231-235

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抄録

アテノロールはβ1選択性の交感神経遮断薬として用いられるが,今回急性中毒を経験したので報告する。症例は82歳女性で数年前より心不全でアテノロールを服用していた。全身倦怠感を主訴に近医受診したところ心電図上補充調律であり,著明な心拡大を認めたため当院へ救急搬送となった。来院時無尿で心不全合併。イソプレナリンを使用し循環動態は安定したが無尿が続き,血液濾過透析を行った。透析以後尿量は徐々に増加し,心電図上洞調律となったため他院転院となった。急性アテノロール中毒の治療は一般に対症療法が選択され,薬物治療を中心に必要なら心臓ペーシング,透析などを行うとされている。今回の症例では透析を行い,経時的にアテノロールの血中濃度を測定した結果,透析前後で対数線形(log(conc.))で直線(R2=0.992)となり,自然低下と大きな変化はなく,急性アテノロール中毒に対しHDFは効果が低い治療である可能性が示唆された。

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© 2005 日本臨床救急医学会
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