日本臨床救急医学会雑誌
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調査・報告
東京国際空港利用客の増加に伴う空港医療体制の現状と課題
一林 亮本多 満鈴木 銀河渡辺 雅之野口 晃司豊田 幸樹年田巻 一義籾山 浩一原 規子吉原 克則
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2019 年 22 巻 4 号 p. 593-601

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抄録

目的:東京オリンピック・パラリンピック競技大会(以下,東京2020)に向けて,東京国際空港の利用客数の増加とともに,救急対応の質が求められる。われわれは空港における救急需要増加に対する方策を検討した。対象と方法:2014〜2015年にかけての空港からの搬送者を対象として東京消防庁の救急隊記録から,活動内容の解析を行った。結果:救急隊活動時間と空港内での活動時間を比較すると到着-接触時間,収容-出発時間が長く,国際線における収容-出発時間が延長し,2015年で17分を要した。考案:救急隊活動時間延長には救急医療体制に問題があると考えられる。到着-接触時間延長は空港の導線に問題があり,その間にfirst responderとしての職員の教育や空港内救急救命士などの介入が有用と考える。結語:東京2020に向けて救急活動における共通の課題として空港周辺医療施設,空港関係者で情報共有や対策作成が必要である。

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© 2019 日本臨床救急医学会
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