日本臨床救急医学会雑誌
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調査・報告
福岡市都市圏における小児救急搬送の現状
賀来 典之漢那 朝雄馬場 晴久李 守永杉森 宏橋爪 誠
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2013 年 16 巻 2 号 p. 64-69

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抄録

目的:重症小児患者の集約化や搬送システムの整備が求められているが,小児の地域単位の救急搬送統計は少ない。このため福岡市都市圏での小児救急搬送の検討を行った。対象・方法:平成21年1月1日~12月31日に福岡市都市圏(小児人口35万人)で救急搬送された小児患者を,救急隊傷病者搬送書を基に後方視的に重症度区分,照会回数,搬送医療機関などを集計・分析した。結果:搬送総数は7,895人で,重症の44%,心肺停止の39%は救命救急センターを有する施設へ搬送されていた。現場滞在時間15分未満達成率は88%,照会回数1回は89%で,いずれも全国平均を上回っていた。結論:福岡地域では小児重症患者の搬送先は短時間で決定され,救命救急センターを有する施設に集約される傾向が強く,適切な医療機関選定,搬送・受入体制は整備されていることが示唆された。今後,調査の継続および転帰調査を考慮する必要がある。

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© 2013 日本臨床救急医学会
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