2012 年 15 巻 5 号 p. 662-667
多職種間での病院前情報の可視化と共有化を図る目的で,救急連携パスを導入した結果,1年間で1,097件の症例で使用された。これらのデータからパスコメントの件数と傾向,連携パス様式,フィードバック方法についてカテゴリ別に分類し検証を行った。連携パス使用症例の15.5%で医師からのコメントが得られ,その内容は救急隊への指導や要望,今後の活動に有用なものであった。コメントにはポジテイブな内容も多く含まれた。病棟に入院した667件のパス適用症例では,病棟スタッフに対する情報共有に活用された。パス様式は使用状況を考慮し改訂を行い,フィードバックレスポンスの向上を図った。連携パスの導入は医療機関選定理由を含めた病院前情報の提供,患者の院内経過を救急隊ヘフィードバック,院内における病院前情報の共有化が可能になるなど,多職種における情報共有の効率化において有用な結果が得られた。