日本臨床救急医学会雑誌
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原著
勤務開始時に測定した都市部救急隊員の唾液アミラーゼ活性値についての考察
岡本 博照菊川 忠臣細田 武伸和田 貴子
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2011 年 14 巻 4 号 p. 487-494

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抄録

S市救急隊員78名に対して仕事のストレスを把握する目的で,唾液アミラーゼ活性値と勤務時間を調査した。調査した勤務時間はふだんの勤務状況を反映し,出場が多い群の救急出場時間は有意に長かったが(p<0.01),仮眠時間は他群との有意差はなかった。勤務開始時の唾液アミラーゼは休養から回復した値(リセット値)とみなすことができ,出場が多い群の平均値45.1 KU/Lは他群に比べ高い傾向にあり,ストレスあり(31 KU/L以上)と判定された隊員の比率も,出場が多い群では66.7%と高い傾向にあった。相関分析の結果,救急出場に関係する業務(出場の準備のための資器材の補充,救急活動記録票や救急救命士活動記録票の記入など)がふだんから長いほど,唾液アミラーゼのリセット値は有意に高くなり[相関係数0.229,p<0.05],救急出場関係業務が間接的に救急隊員の仕事のストレスの元になっている可能性が示唆された。

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© 2011 日本臨床救急医学会
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