2023 年 Annual61 巻 Proc 号 p. 382-384
近年、超高齢社会を迎えた日本は労働者の高齢化が進んでおり、農作業など体に負担が掛かる作業への対策が求められている。この体に負担が掛かる作業の一つに上肢を拳上し維持した状態で行う作業があり、この対策として、上肢を任意の位置で保持したまま行う作業をアシストする装置が開発されている。しかし、これらの装置には、装置全体が大型であり使用可能な作業現場が限られてしまうものが多い。一方、簡単な機構でアシストが可能な装具も開発されてはいるが、上肢の保持位置が限定されており任意の位置で保持することはできないという問題点を有している。そのため、双方の利点を生かした上肢サポート装具が開発できれば様々な作業現場での使用に対応できるのではないかと考え、本研究ではEAM(Electro Attractive Material:電気的吸引材料)という機能性材料を用いた回転型EAMブレーキを応用することとした。このブレーキは円形のEAMを円盤状の電極で挟みシャフトを通した構造で、シャフトに連動した回転電極の回転に対して印加する電圧の値に応じた制動力の発生が可能な電圧制御型ブレーキである。今回、腰に装着したこのブレーキの軸と腕を柔軟なワイヤーで接続し、制動力で腕を任意の位置で保持するというコンパクトな構造で装着も簡便なウェアラブル上肢サポート装具を開発したので、その構造と動作確認結果について報告する。