2023 年 Annual61 巻 Abstract 号 p. 157_2
近年のバイオイメージング技術の進歩により、神経生理学の分野ではニューロン集団の領域レベルから単一ニューロンレベルまで様々なレベルにおける脳活動の様子を調べることが可能となった。イメージングデータは平面格子状に配置された計測点で多点同時連続記録されるため、従来の電気生理学的方法と比較して数万倍以上の高精度な空間的情報を得ることができ、ニューロン活動の時空間的な遷移を観察することが可能である。我々は、神経生理学者との共同研究において、呼吸性ニューロン間の活性化順序は呼吸サイクルごとに変化するが、同じニューロンタイプでは活性化順序に一定の規則性が存在するという重要な発見をした(Front. Physiol. 2018、Respir. Physiol. Neurobiol. 2016、 Neurosci. Lett. 2015)。しかし、複数のニューロンがどのような機能的ネットワーク構造を形成し、自励的に同期してリズムを生成しているのか、そのメカニズムは十分に解明されていない。本講演では多変量時系列に基づくGranger 因果性やインパルス応答解析を用いニューロン間の因果的結合性を定量評価し、統計的に有意なネットワーク構造の推定法について解説し適用範囲について議論する。