生体医工学
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前腕部装着型3軸加速度計を用いた歩行速度の評価に基づく偏食の同定:若年男性での実験研究
蔵本 憲信綾部 誠也荒瀬 大輔熊原 秀晃
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2022 年 Annual60 巻 Abstract 号 p. 239_1

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抄録

【目的】規則正しい食事は,生活習慣の予防治療の基礎である.日常生活の食習慣・食行動の客観的評価法は確立されていない.本研究は,偏食の客観的評価のための行動情報解析アルゴリズム開発のための基礎的研究として,前腕加速度から得られる歩行速度の低下をトリガーとする偏食同定の可能性について検討した.【方法】対象者は男子大学生10名(体格指数 20.9 ± 2.8 kg・m-2)であった.実験は,異なる食事条件の前後にて歩行を行うクロスオーバーデザインであった.食事条件は,過食条件と対照条件とし,それぞれの摂取量が1677±464 kcalと650 kcalであった.歩行試験は,100 mの普通速度での歩行を行った.歩行試験中は,前腕に3軸加速度計(wGT3X-BT,ActiGraph)を装着し,歩数と合成加速度指標を得た.所要時間から歩行速度を得た.また,仕事量(kg・m),仕事率(kg・m・sec-1),体重1kg当たりの仕事率(kg・m・sec-1・kg-1)を算出した.【結果】体重,歩行速度,仕事量,仕事率,体重1kg当たりの仕事率,合成加速度指標は,条件と時間の有意な交互作用が認められた(p < 0.05).歩数と歩行率は,有意な交互作用が認められなかった.【考察】本研究は,過食の急性影響として,体重の増大,歩行速度と合成加速度指標の減少を認めた.これらの結果は,3軸加速度計から得られた合成加速度の顕著な低下として過食を同定できる可能性を示唆する.

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© 2022 社団法人日本生体医工学会
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