生体医工学
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スマートフォンを用いた中高年者の足部の解剖学的評価システムの開発
山下 知子山下 和彦原 晋介
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2020 年 Annual58 巻 Abstract 号 p. 338

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抄録

[背景]高齢者の転倒リスクを高める外反母趾は35%以上に発生している.足部に課題を持つ足の特徴には踵が外側に曲がる踵骨外反や足首が内側に倒れる回内状態が挙げられる.これらは足部の解剖学的特徴に起因しているため,足部の解剖学的特徴を評価し将来のリスク推定が求められる.しかし足部の解剖学的特徴を定量的かつ安価に計測・評価するための計測器はない.[目的]そこで本研究では足部の解剖学的特徴を計測・評価するためのシステムを開発し,有用性と中高年者の足部の課題の調査を行った.開発したシステムは,スマートフォンを用いて対象者の足部周囲を360度撮影し,足部の3次元再構成を行い,特徴量を抽出することで評価を行う.[方法]対象は中高年者419名(63.8±12.0歳,40-89歳)であり,足部の解剖学的特徴の解析を行った.対象者は自然な立位を保持し,視点は1点を見つめ動かないよう指示した.撮影時間は約10秒である.[結果・考察]その結果,外反母趾のリスクを高める足部の扁平化,開帳足は加齢により進行していることがわかった.以上より,スマートフォンを用いることにより簡便な計測が行え,解剖学的観点からの評価が可能となり,足部変形リスク推定における評価に有用であることが示唆された.

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© 2020 社団法人日本生体医工学会
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