生体医工学
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電子カルテ利用状況に基づく看護業務の最適化
脇坂 仁
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2020 年 Annual58 巻 Abstract 号 p. 210

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抄録

現在の患者情報を中心として構成されている電子カルテにも、かなり詳細なアクセスログが残されている。このログを取り出すことにより、端末ごとに時系列で何が行われたのかを分析することが可能となる。端末の利用状況から業務の時間による集中度や利用率を求めることにより、端末配置の最適化を行うための根拠を得ることができる。実際に新規設立部門用の端末を利用率が低いことを可視化した資料により移動元となった現場の理解を比較的スムースに得ることができた。これにしたがって合理性に基づいた速やかな端末再配置が実現できる。また利用者に注目して時系列解析を行うことで、時間的な業務集中による過大な負荷の検出ができる。さらに勤務帯ごとの重ね合わせで時系列処理を行えば個人ごとの業務パターンの特性を観察し、利用者間で比較することにより、より負荷の高くなリやすい者を推測できると期待される。アクセスログ中の利用内容を元に業務を類別したり、さらに各種オーダー情報や記載内容や記載量を組み合わせれば特定の業務パフォーマンスに焦点を当てた解析も想定される。しかしながらパフォーマンスの個人間比較は人事評価に流用されやすいことに注意を払うべきであり、得られた数値インデックスが実際の評価にそぐわないものである可能性を念頭に置かねばならない。まずは全体としての業務負荷軽減を目指すための指標として利用されるべきである。

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© 2020 社団法人日本生体医工学会
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