2017 年 55Annual 巻 5AM-Abstract 号 p. 438
われわれの研究グループでは立体硬性鏡を用いて術野を撮影し、その術野画像上に術前の患者のX線CTデータから三次元再構築した臓器モデルを重畳表示する術中ナビゲーションシステムの開発を行なっており、過去の本大会でも肝胆膵領域の外科手術における臨床応用について報告を行なってきた。本システムは、肉眼では見ることのできない臓器内部の腫瘍や血管などの内部構造の三次元的な把握を可能にするものの、開腹下手術では実際の術野とナビゲーション画像との間の対応を理解するために術野とモニタの間で視線を大きく往復させる必要があった。そこでわれわれはタブレット型のPCを用い、できるだけ視線移動の少ないナビゲーションシステムの開発を開始した。開発にあたってはこれまでのシステムで可能であった機能を同様に実行できるようにするだけでなく、タブレット型PCのタッチパネルなどのインターフェイスを活用し、医師が直感的にナビゲーションシステムの操作をできるようにした。また本システムではタブレット型PCのごく近くにいる者しかナビゲーション画像を見ることができないため、無線接続によって外部ディスプレイへナビゲーション画像を転送することにより、手術室内のスタッフ全員がナビゲーション画像を確認できるようにした。本システムを肝胆膵領域の開腹下手術で臨床応用した結果を報告する。