水産増殖
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短時間の飢餓がシオミズツボワムシの生残, 発達, 生物学的最小形および卵の大きさに及ぼす影響
小磯 雅彦桑田 博日野 明徳
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2005 年 53 巻 1 号 p. 1-5

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抄録

短時間の飢餓がワムシの増殖や大きさに及ぼす影響を検討するために, ふ化ワムシを3, 6, 9および12時間の飢餓に曝した後, 餌料を添加した培養水に移して培養し, それぞれのワムシの生残率, 生活史パラメータ, 生物学的最小形および卵の大きさを調べた。3~12時間の飢餓に曝されたワムシは, 生残率が低下し, ふ化から初産卵までの時間が飢餓に曝された時間だけ遅延すること, 生物学的最小形が小型化することがわかった。ふ化から初産卵までの時間が飢餓に曝された時間だけ遅延したことから, 摂餌の開始によって生殖器官の発達が開始されると考えられた。また, 飢餓時間の長さに伴い生物学的最小形は小型化したが, 卵の大きさは変化しないことから, ワムシの体の成長と卵形成はそれぞれ独立して発達すると考えられた。3~12時間の短時間の飢餓でも, 生残率の低下やワムシの小型化が起こるため, 大量培養では回避すべきであると考えられる。

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