2003 年 51 巻 3 号 p. 327-335
スケトウダラ幼魚に, OTC, ALCおよびARSの溶液を用いて, 液浸法により24時間の耳石染色を行った。ALC25ppmおよびARS200~1000ppmの薬品濃度は耳石染色に適正と判断された。一方, OTCでは, すべての濃度が耳石染色に適正と判断されなかった。ALCおよびARSにより染色処理された後, 1年間飼育されたスケトウダラ個体において, その耳石, 鱗, 鰭条骨および下鰓蓋骨から染色マークが確認された。1歳の天然魚と, 餌, 水温, 光条件が安定した1歳の飼育魚では, 耳石輪紋パターンが異なり, 飼育魚には年輪が形成されなかった。毒性, 染色マーク着色状況およびコストを考慮すると, ARSは, 本研究で使用した3種の薬品のうち, スケトウダラ幼魚の染色剤として最も優れていると考えられた。