水産増殖
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播磨灘の小型底曳網で漁獲されるマアナゴの全長組成の季節変化と目合拡大による資源管理の可能性
五利江 重昭大谷 徹也
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1998 年 46 巻 4 号 p. 495-501

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抄録

1) 播磨灘北東部で, 小型底曳網によるカバーネット式の網目選択性試験を実施し, マアナゴの漁獲物全長組成, 網目・人為選択率の季節変化, およびコッドエンドを抜け出たマアナゴの生残率を調べ, 目合拡大の可能性について検討した。
2) 8月に, 全長300mm以上の大形個体に加え, 250mmをモードとする小形個体が出現し, この群の出現は8~4月の長期間にわたった。またマアナゴの50%網目選択全長は, 282mmと推定された。
3) マアナゴは, おおむね全長250mmが水揚げ下限サイズとなっていた。また, 5~9月には300mm以上が水揚げ物となり, それ以下のマアナゴは投棄物となっていた。
4) コッドエンドを抜け出たマアナゴの生残率は100%と推定された。また全長300mmを境に“小”, “中”銘柄に区別され, その価格差は約2倍となるため, 水揚げサイズを300mm以上にすれば, この大きさ未満の小形魚が水揚げされる10~4月でもコッドエンドの目合拡大が可能であると思われた。

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