1995 年 43 巻 4 号 p. 449-454
アカアマダイは飼育水槽内で産卵するが, 150m3円型水槽 (直径10m・深さ2m) に200尾前後の親魚を収容した場合の受精率は, 0~0.57%と非常に低かった。そこで, 天然での本種の生息状況を考慮し, 同水槽に雄1尾と雌数尾を収容し, 1991年から1994年までに6回の産卵実験を行った。
1991年と1994年の産卵数は237万粒と153万粒で, 受精卵数はそれぞれ59万粒と27万粒であった。これらの受精率は24.7%と17.9%であり, 過去の例に比べて受精率の大幅な向上がみられた。しかし, 産卵期の直前や途中に親魚を交換した1992年と1993年の実験では産卵数も少なく, 受精卵はまったく得られなかった。
これらのことから, アカアマダイを産卵させる場合は, 水槽内に多数の親魚を収容するよりも, 1尾の雄と数尾の雌を収容した方が受精率の高い産卵を得る機会が多かった。さらに, 親魚は産卵期の4~5カ月前に水槽へ収容し, その後は親魚を交換しない方がよいと思われた。