水産増殖
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トラフグ幼稚仔の収容密度が成長, 生残率及び尾鰭欠損率に及ぼす影響*1,2,3
韓 慶男松井 誠一古市 政幸北島 力
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1994 年 42 巻 4 号 p. 507-514

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抄録

トラフグ初期養成における管理技術の基礎的資料を得るため, 仔魚期から若魚期までの5つの異なる成長段階について, 収容密度が成長, 生残率および尾鰭欠損率に与える影響を検討し, つぎの結果を得た。
1. 収容密度が低いほど, 成長および生残率が優れる傾向が認められた。
2. 噛み合いによる尾鰭欠損率は高密度区ほど高く, また, 仔・稚魚期より若魚期において欠損の程度が大きかった。
3. 日令17~45 (5.5~18mmTL) の間に見られた高い斃死率は, 仔魚期から稚魚期への移行期前後の仔稚魚が混在する段階での噛み合いによるものと推測された。
4. 本実験の結果から, 適正収容密度は3.3~10.0mm TLまでの仔魚期では25000尾/m3程度, 10~40mmTLまでの稚魚期は2800尾/m3程度, 30~50mmTLの成長段階は600尾/m3程度, 50~75mmTLの成長段階は100尾/m3程度と考えられる。

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