2022 年 70 巻 2 号 p. 121-130
島根半島沿岸域に放流されたアカアマダイの放流効果を評価検討した。放流アカアマダイの再捕確認調査を2012~2019年度に小伊津漁港において月1回の頻度で実施した。標識魚の再捕は放流点から45 km の範囲で確認され,そのうち97%は20 km 以内の範囲であった。確認された標識魚は雌雄とも2~9齢で,雌80尾,雄43尾の総計123尾であった。混獲率は0.12~1.01%で推移し,推定回収尾数は雌1,105尾,雄681尾,総計1,786尾であった。回収魚の年齢組成と年度別放流尾数から標準的な累積回収率を算出したところ,9齢以降で4.874%が上限となった。放流の直接効果として1尾あたりの漁獲期待価格を算出したところ83.7円で,1尾あたり種苗販売単価に対する比は0.78であった。今後は間接的効果の算定にむけて本海域の再生産機構の解明が重要な課題となる。