日本腹部救急医学会雑誌
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小児急性虫垂炎における超音波検査の有用性と限界
検者別検査診断の臨床疫学的検討
平川 均上野 滋横山 清七
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2004 年 24 巻 6 号 p. 1041-1046

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抄録

超音波検査者の違いによる所見と治療結果に注目して, 小児急性虫垂炎における超音波検査の有用性と限界について検討した。対象は入院例261例で, 手術例179例と非手術例82例が含まれ, 検査者によって, ER群 (91例) と中検群 (131例) に大別した。切除標本から炎症所見の乏しい例と手術に至らなかった例は, 虫垂炎ではないという前提で, 検者別に感度, 特異度, 適中度を算出した。その結果は (中検群/ER群, 単位%), 感度91/68, 特異度56/87, 陽性適中度69/96, 見過ぎ率31/4, 陰性適中度86/35, 見逃し率14/65であった。手技に精通している中検群では高い感度を示し, 見過ぎ率も高かった。一方, 精通していないER群では高い特異度を示し, 見逃し率も高かった。以上より, 超音波検査は, 検者によって結果が変わることを認識した上で虫垂炎診断に反映させることが重要で, 虫垂炎の最終診断には総合的判断が必要であった。

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