日本腹部救急医学会雑誌
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保存的治療で軽快した小児消化管穿孔の1例
金城 僚砂川 宏樹青木 啓光西巻 正
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2003 年 23 巻 6 号 p. 961-965

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抄録

小児腹部鈍的外傷で消化管損傷は少ない. 消化管穿孔は緊急手術の適応と考えられるが, 慎重な経過観察にて手術を回避できた症例を経験した. 症例は8歳男児. 鉄棒の上からバランスを崩して転落, 腹部を強打. 腹痛, 嘔吐を認め近医を受診後, 当科紹介・入院となる. 画像検査でfree airなく, 少量の腹水を認めた. 入院時, ごく軽度の腹膜刺激症状を認めたが, 全身状態が良好なため保存的治療を行った. フォローCTでは腹水増加なく, 腹部CTの際の経口影剤の腹腔内漏出なし. 38℃台の発熱を認めるも腹部所見は完全に消失していた. 受傷4日目には飲水を開始したが5日目の腹部単純写真で直腸膀胱窩に造影剤の貯留を認め, 再度絶食とした. その後, 保存的治療のみで解熱し, 腹部所見も良好, 8日目から食事を開始. その後問題なく経過し, 受傷後10日目に退院となった. 消化管穿孔を保存的に治療した特異な症例であるので報告した.

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